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国宝臼杵石仏の「アタマ、どげーするん?」論争

更新日:2019年4月25日

前回のブログでは、埼玉県狭山市に住んでいた時の整体のお客さんが遊びに来られ、一緒にいただいたランチや臼杵の「食」ついて書きました。臼杵市へUターン移住してまだ3か月くらいなのですが、既に3月に2組、4月に1組、5月に2組の友人や埼玉時代の整体のお客さんが遊びに来ており、おかげさまで関東から離れた寂しさをそれほど感じずに済んでいます。


それぞれの滞在可能時間によって観光案内をする場所も変えていますが、時間がある方には臼杵石仏まで必ず行くようにしています。ここではなかなか語ることも多く、友人たちからは「かなり面白い散策だった」と高評価を得ています。

その臼杵石仏、以前のブログでも触れましたが、私の年代(←昭和48年生まれ)以上の人には「これで良かったのか?」という思いと「これで良かった!」という思い、それぞれの感情を持つ人がいると思います。


今回は、のんきな臼杵市民が白熱のディスカッションを繰り広げた(?)「アタマ、どげーするん?」論争について、臼杵石仏の歴史と共にご紹介したいと思います。


「臼杵石仏」とは?

臼杵石仏は、平安時代から鎌倉時代にかけて製作された仏像群で、60体以上あります。驚くのは岩の山肌を削って作られている点。表面だけではなく背中のほうまできっちりと彫られたものや、うっすらと色彩が残っているものあり、長い年月をかけて丁寧に作られたのが感じられます。 平成7年から29年にかけて合計61体が国宝指定されている、臼杵のメインとも言われる観光スポットなのです。


山の中を順路で巡る

前述したように山肌を削って作られた石仏の為、それらは全て山の中にあります。

と言ってもアップダウンもそれほどきつくなく、順路だけをしっかり見て回るだけなら、四十路の私で1時間弱程度。道も歩きやすく整備されています。3月に来た友人は、線香の煙を浴びるところからはしゃぐ↓

ちなみに料金は、臼杵市民は身分証明書の提示で無料、市外の方は大人:540円、小人(小中学生):260円です。石仏の歴史を知らなくても大丈夫。それぞれのスポットでQRコードを読み込めば、あなたのスマホが石仏ガイドに!↓

スマホを使用していない方でも、入場券の購入時にハンディーなパンフレットがもらえます。それに大まかなガイドは書いてあるので、パンフ片手に散策をしてみてください。


臼杵市民、「アタマ問題」で悩む

さて、本日の本題でもある臼杵石仏の中心的仏像「古園大仏」について。11世紀後半の作と言われる臼杵石仏の中心的存在で、他の石仏と違うオーラが漂う傑作中の傑作↓

ちょうど臼杵の老舗酒蔵「久家本店」さんの清酒「一の井手」がお供えされており、その隣に懐かしい姿があったのでパシャリ。


私が生まれた昭和48年当時、臼杵石仏は写真の姿ではなく、清酒の隣の姿でした。今から300年くらい前に劣化の為ゴロンと地面に落ちたようで、昔の人はそれをくっつけることもできずそのまま台座の上に置かれていました。江戸→明治→大正→昭和→平成まできて、やっと「アタマ、戻すんな?そのままな?どげーするんな?」(=頭、戻すの?そのまま?どうするの?)という論争がおきました。


当時私は中学~高校という時期でしたが大人たちが「アンタはどっちがいいっち思う?」(=あなたはどちらがいいと思う?)という談義をしていたのを思い出します。みんな生まれたときには仏頭は地面にあったのだし、むしろそっちのほうが我々には「自然」なのですが、当時「頭を元に戻さないと国宝指定を受けられない」という、何やらきな臭い話も子供の耳に入ってきました。

「国宝になったらきっと観光客もたくさん来るに違いない!」

おそらく当時「復元」を推した人たちはこの思いに賭けたのでしょう。


止むことのない感傷

私が県外の大学に進学した翌年に古園大仏のアタマは元に戻され、数年後無事国宝指定を受けました。地元を離れて以来臼杵石仏に行くこともほとんどありませんでしたが、数年前の元旦、久しぶりに石仏を見に行きました。やはり昭和生まれには「圧倒的違和感」。

これについてはもう慣れるしかないのですが

「あそこにあったほうが絶対いいのにな」

と観光客とは全く違った方向を凝視してしまいます。そして古園大仏に展示されている、以前の姿の写真を見て懐かしさがこみ上げてくるばかり↓

苔むした感じが良いではないですか。木の根っこの間から見える仏像がエキゾチックな、カンボジアの「アンコールワット遺跡」に勝るとも劣らない景観です。こういった風景にお賽銭箱は異質な印象を与えますが、青くペンキ塗りされながらも錆び錆びの状態が、この環境に見事にマッチしています。


しかしそんな地元民の哀愁とは無縁な埼玉のお客さんや県外の友人は「凄く静かで見ごたえがあるねー」と大絶賛。観光客にはそんな感傷、全く関係ないのです。


余談ですが、同じような感傷に浸ってしまうのが別府のスギノイパレスです。バブルでイケイケだった時代(当時私は保育園~小学生)、スギノイパレスの温泉大浴場は凄いことになっていました。「ジャングル風呂」なるものがあり、ここではお風呂の中で大人も子供もすっぽんぽんでアスレチックに興じていたのです。小学校低学年まで父や兄と一緒に男湯にも入っていましたが、目の前に知らないおじさんのお尻があることなんて、ジャングル風呂では日常茶飯事。また、もう一つの湯には(←日々男湯と女湯が入れ替わる)お風呂の中央にものすごく巨大な水槽があって、デッカイ魚がゆったり泳いでいました。しかもその水槽が台座になり、顔が見えないほど巨大な観音様が立ちなぜか回転しているなど、テルマエロマエもビックリの壮大なスケール。

「上品な棚湯もいいけど、もう一度ジャングル風呂に入りたい・・」そんな感傷を抱いているのは、決して私だけではないでしょう。


季節の花々も楽しめる場所

話は臼杵石仏に戻ります。臼杵石仏では季節の花々の見学もおススメです。例えば、この春私は3回訪問しましたが、そのうち2回は桜と芝桜をそれぞれ楽しむことができました。夏には「蓮まつり」が行われるほど美しく開花します。

こちらは臼杵石仏から徒歩圏内にある満月寺(まんがつじ)↓

桜だけではなく珍しい仁王像や、この地域に伝わる「真名野長者伝説」の真名野長者夫妻の石像など見どころもたくさんです。


移住や観光で臼杵市に来られる方は、是非臼杵石仏にたっぷり時間を割いて見学をしていってくださいね。


(追記)

タイムリーなことに、23日から「うすきプロジェクト」の第2弾のテーマが「臼杵石仏」だと発表されました!「石仏カムトゥルー」というキャンペーンでは、10月31日まで臼杵石仏を訪れた方1名の願いを聞いてくれるらしいのです。詳細は【関連リンク】からどうぞ。


【関連リンク】

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