臼杵市の八町エリア(城下町の商業地区)に実家のある私は、18歳まで全ての教育機関に徒歩10分以内(中学生以上のスピードで)で通っていました。一番最初に通った臼杵保育園は現在の所在地とは違い、二王座の法音寺内にありました。
日蓮宗法音寺の本堂横に保育園が併設されており、毎朝お堂に集まって「なんみょーほーれんげっきょう!(南妙法蓮華経)」と絶叫していたような記憶があります。
5年前に臼杵にUターンしてきた時には既に「うすきこども園」となり福良地区に移転。姪や甥も家から一番近いこども園に通っていたため、なかなか法音寺を訪れる機会も少なくなっていました。
が!私の保育園時代からのお気に入りの行事はそのまま残っていたのです!
Uターン5年目にしてやっと参加できた法音寺の節分大祈祷会。
「あぁ、昔もこんな感じだった・・」
と思い出に浸りながら楽しんだ、法音寺冬の大イベントをご紹介いたします。
大迫力の水行
毎年2月3日節分の日に行われる法音寺の節分大祈祷会は1年の無病息災を願う行事で、朝10時の水行から始まります。
副住職の加藤圓清(えんせい)さんから事前にスケジュールを聞いていたのですが、仕事の都合で水行を観ることはできませんでした。
現在は午前中に行われるイベントですが、私が子供の時は夜に行われており、暗闇でライトに照らされた僧侶たちがふんどし一枚になって水をかぶる水行はとにかく大迫力でした。被った水と体温で体から湯気が上がるさまがこの世のものとも思えず、子どもながらに凝視したものです。ビビりの姪たちが当時の水行を観たら間違いなく号泣していたでしょう。しかし、水行を見損ねた我々は、水が滴る赤カーペットのみを見て今年はまっすぐ本堂へ向かいます。
ちなみに水行はこの後行われる大祈祷会の為、僧侶自身をお清めする意味があるそうです。檀家さんだけでなくこの日初めて訪れる私の姪たちにも祈祷をしていただけるありがたい会です。
姪2人、初の仏教との遭遇に怯える
私たちが本堂に到着すると、既に加藤顕瑩(けんえい)住職の「開運法話」も佳境に差し掛かっており「少しでも聞いておきたい」と思ったのですが、100人以上が集まった本堂の雰囲気に恐れをなした7歳と9歳の姪は入室を拒否!
「何しよんの!?この後で菓子まきがあるんやけん、早くおいで!」
と説得に説得を重ねやっと入室してくれました。
気が付くと本堂の入り口ではお寺がyoutube配信をしていたので、もしかした十数分私のひそひそ声の説得が流れていたかもしれません。この場を借りてお詫びいたします。
残念ながら住職のお話も聞き逃してしまい、そのあとの新春大祈祷会から正式参加することに。
大祈祷会と懐かしの音
住職を中心に行われた大祈祷会。子どもの時からそうでしたが、何を言っているのかなかなか理解できなくても荘厳な雰囲気はその昔感じたまま。特に懐かしさを感じたのはその音です。保育園にいた時に何度も聞こえてきたものです。
当時は「大きなカスタネット」がリズムを刻んでいるように聞こえていたのですが、住職たちが振り回しながら打ち鳴らすあの楽器のようなものが何なのか大人になってもさっぱりわからず、見れば見るほど謎でした。
帰宅後ネットで調べてみると、日蓮宗の本式念珠と木剣の組み合わせで鳴らしていた音でした。このカチカチという大きな音で魔除けをしているのだそうです。
念仏ののち、ご住職たちは一人一人の体を木剣で擦り、この1年の無病息災をともに祈ってくれます。
私の姪2人も最初は怯えていましたが、周囲の大人たちを真似て合掌していました。
お寺とは無縁のビビり姉妹ですが「やればできるじゃないか!」という思いで五十路の伯母も少し感動。
なかなか良いお寺体験ができたと思います。
お待ちかねの福引き大会と豆(菓子)まき
恐怖と闘いながら仏教体験をした姉妹ですが、この二人の本来の目的は「菓子まき」。特に7歳の姪Hは虫歯だらけなので彼女の母からは「チョコ類禁止令」が発布されています。ダメと言われればさらに欲しくなるのが人の常で、彼女はお寺に煩悩たっぷりでやってきたわけです。
まずは福引き大会。祈祷会の後いただいた、お家でまく用の豆の袋には何やら番号が書かれており、この番号が読み上げられたら賞品をゲットできます。
ちなみにsuzunari coffeeのコーヒー豆といったオシャレなものから、臼杵の生姜せんべいや金粉入り日本酒まで、地元色を活かした賞品がラインナップ。歓声やため息が入り混じった楽しいものでした。
我々は残念ながらハズれてしまいましたが、姪たちも真剣に豆袋の番号を眺め楽しんだようでした。
そしていよいよ、彼女たちの本丸、菓子まきの開始!
あんなに本堂に怯えていたのに、この時はもうお菓子に夢中でとにかく畳の上を這いつくばる勢いで拾い集めていました。最後にはお供え物まで配る状況で、りんごや白菜まで皆さんでお持ち帰り。
「りんご欲しい~」と姪Mは呟いてましたが、それは日ごろから真面目に信仰心を磨いている檀家さんのものだと諭して、Mも納得。とはいえ、巨大なしまむらの袋の1/3ものお菓子をゲットしたのですから、もう十分ではないか。
菓子まきを理由にお寺体験に連れ出したビビり姉妹。
今後は以前ほど怯えることはないと思うので、大きくなるにつれて散歩がてらいろんなお寺を訪れて、少しずつその歴史など話していければよいかな、と考えています。
歴史的にも文化的にも興味深い法音寺
毎日3年以上も通っていた臼杵保育園のあった法音寺。今その歴史や文化的な価値を見直してみると実に興味深いものがたくさんあります。
法音寺は細川ガラシャの娘・たら姫が臼杵藩主に嫁いだのをきっかけに、菩提寺として1602年に建立されました。
山門に置かれた毘沙門天と持国天の像をはじめ、サッカー日本代表のエンブレム「八咫烏」をデザインした日名子実三氏が設計した三光堂など、見どころも満載。三光堂には女性の生髪を植えた鬼子母神像が安置されており、一説には薄毛の方にご利益があるとかないとか。
また、墓地から見下ろす甚吉坂の風景は私のお気に入りでもあります。
節分大祈祷会の時は賑やかな法音寺ですが、普段はその深い歴史、建築物を静かにゆったりと見学してみるのもおすすめです。
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