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愛される木造駅舎「JR上臼杵駅」

更新日:9月26日

趣ある木造駅舎「JR上臼杵駅」。前回までは町を二分する対抗意識の結果完成した上臼杵駅の歴史について触れました。詳細はコチラ↓


明治から大正にかけての八町VS平清水の歴史は、調べれば調べるほど面白い話が出てきそうで私的にはちょっと調べ足りないくらいでしたが、ブログは先に進まなくてはいけません。


というわけで、今回は現在の上臼杵駅がどのように使用されているのか?

臼杵市民でも知らない方が多いのではないかと思う、現在の愛され駅「上臼杵駅」の実態をレポートします。

JR上臼杵駅の看板
観光客にも人気の駅名看板

誰がしてるの?無人駅の管理

ある時気付いたら無人駅になっていたJR上臼杵駅(正確には2015年から無人)。

JR上臼杵駅は無人駅
駅員さんの代わりにレトロな運賃箱がお出迎え

無人なので趣ある駅員室の窓口にはもはやJR職員はいません。と思いきや、実は週に何回か人がいるのです!

以前臼杵市の自治会について書いた記事がありますが↓

そこでも記載した「地域振興協議会」の一つ、南部振興協議会が上臼杵駅エリアに該当し、この駅を管理しています。その関係で昔の駅員室が現在は南部振興協議会の事務局になっており、スタッフが平日朝9時から午後3時くらいまで勤務しているのです。


無人駅というのはその土地によって管理の仕方がいろいろあるそうで、JR上臼杵駅の場合、ホームを含む土地はJRのもので、管理は基本JR。

JR上臼杵駅ホーム
単線で上下線をさばく上臼杵駅のホーム

駅舎に関しては臼杵市のもので、その管理は臼杵市なのだそうです。

現在、地域振興に無人駅を役立てたいという市民の意向もあり、臼杵市からの委託で南部振興協議会が駅舎の管理をしています。

100年超えの木造駅舎
ホームから見た木造の駅舎

そういえばJR下ノ江駅で毎年初夏に行われる駅舎をバルにするという企画「立ち飲み食堂」のイベントも下ノ江地区の振興協議会である「下ノ江地区ふれあい協議会」が行っていますが、こういった経緯でJRにお伺いを立てる必要なく自由な発想でイベントができるのかと納得。


上臼杵駅を管理する南部振興協議会の協力のもと、この駅で定期的に行われているのが「たんぽっぽの会」の活動です。


外に開く就労サロン活動グループ「たんぽっぽの会」

「たんぽっぽの会」は就労支援のボランティアグループで、毎月第1・4火曜(13:30-15:00)に上臼杵駅舎の内外で就労サロンを開いています。その対象となるのは高齢者、障がい者、認知症患者、引きこもりの方など様々。また、臼杵市民でなくても参加可能です。

たんぽっぽの会の活動風景
取材日は爽やかな屋外で作業活動

例えば認知症の方に関しては、ご本人も大変なのですがそれをお世話する家族の方にも大きな負担があります。目を離した隙に行方不明になったりするパターンもあるので、いつもそばにいなければならず、介護する方の生活がとにかく制限され大きなストレスとなることが多いのです。

従って認知症の方には介護認定などを受けてデイサービスやデイケアに通ってもらい、介護者には生活の質を上げる時間を確保するといったことが必要なのですが、その回数は週に1~3回が平均的なのではないかと思われます。それ以外の時間、例えば2時間だけでもたんぽっぽの会のサロンなどに預け、介護者の自由な時間ができれば大きな助けとなります。

また、引きこもりの方やまだまだ働きたいシニアの方には就労支援も行っています。


たんぽっぽの会は日々活動をしているのですが、「こういう活動の場、集まりの場があるんですよ」と誰でもが参加しやすいように、敢えて閉ざされた施設の空間だけではなく開かれた上臼杵駅という場で月2回活動しています。


実際に何をしているのかというと、取材をした日は内職バイト。地元の味噌・醤油会社から委託された内職作業を上臼杵駅の駅舎で楽しくおしゃべりしながら、お茶を飲みながらせっせとこなしていました。

毎回いろいろな作業があるそうで、実は上臼杵駅をノスタルジックに飾る2800羽の折り鶴もたんぽっぽの会の仕事だったのです。3年前にこの待合室でボランティアの方とサロンに来た方、はたまた活動を知った地域の方が持ってきたもので完成させたそうです。

上臼杵駅の待合室
駅舎にある折り鶴は今や上臼杵駅のアイコン

その他、たんぽっぽの会の活動日には、駅舎に簡単なカフェがオープンします。コーヒーや甘酒など1杯100円!かつての駅員さんの宿直室からのサービスはレトロそのもの。今年の夏はかき氷も100円で販売したそうです。

ぽっぽカフェ
木枠の窓もちらりと見える内部も素敵

作業する方は20代~80代。抱えている症状も様々なのですが、代表で介護福祉士でもある麻生さんは「利用者さんとそのご家族が次の1歩に進めるよう、その『繋ぎ』になれば」とのことで活動されています。

取材日も電車を利用する方が「あれ、何してるの?」と興味津々で聞いていました。施設の中で活動しているだけでは知ることができない様々な方が抱えている問題や、楽しみながら問題を解決につなげていくことができるということを上臼杵駅を通して知ることができます。


麻生さん曰く随時ボランティアメンバーは募集中。見学したい方は一度ご連絡の上、上臼杵駅へ出かけてみてください。

*送迎サービスは行っていません。上臼杵駅や臼杵市社会福祉協議会までは自家用車や公共交通機関などを利用してお越しください。


<たんぽっぽの会問い合わせ先>

電話:090-5287-2246(代表:麻生)


木造駅舎をこよなく愛する「臼杵百年木造駅舎の会」

上臼杵駅に関わりのあるもう一つの団体が「臼杵百年木造駅舎の会」です。以前にも書きましたが、臼杵には築100年を超える木造駅舎が3つ(下ノ江駅、熊崎駅、上臼杵駅)あり、佐志生駅もこれに加えて月に1~2回行う清掃活動のほか、上臼杵駅と熊崎駅では駅舎図書館という珍しい活動を行っています。

上駅文庫
待合室にはこれ以上の本がずらりと並ぶ

ちなみに写真の「上駅(かみえき)」とは、臼杵市民が上臼杵駅を呼ぶときの愛称。


1時間に1~2本しか来ない電車を待っている間、待合室で本が読めるのです。しかも借りるのは自由。上臼杵駅か熊崎駅で返してくれれば問題なし!というファジーな決まりの元運営されています。性善説ありきの田舎・臼杵ならではのルールでほっこりさせられます。

図書の貸し出しルール
ルールは緩いですが、だからこそきちんと守りたい

取材対応してくださった代表の齋藤さんは南部振興協議会の会長もされた経験があり、上臼杵駅の駅舎宿直室などの整備にも関わったそうです。

現在の宿直室には立派な古い書が飾っていて、私もこれを誰が書いたのか謎で知りたかったのですが齋藤さんにとっても謎だそうで、今後分析をしていきたいとおっしゃっていました。

上臼杵駅の古い書
おそらく駅建設当時の書。誰が書いたのかぜひ知りたい

古い駅にはアンティークな物や謎のものがあって楽しいですね。臼杵百年木造駅舎の会や南部振興協議会がそのうちこれらの歴史的資料を観光に活かしてくれたら、「〇〇鉄」などのマニアが臼杵の歴史ある駅にたくさん訪れてくれるんではないだろうかと今からちょっと期待してしまいます。


なお「臼杵百年木造駅舎の会」もメンバーを随時募集中。興味のある方は問い合わせてみてください。


<臼杵百年木造駅舎の会問い合わせ先>

電話:090-2503-1027(代表:齋藤)


駅と密接に関わる臼杵市民

現在の乗降客数を考えたら廃駅になってもおかしくないような駅かもしれませんが、市民が愛する100年超えの木造駅舎は臼杵市の保存対象の建築物になりました。愛着のある駅を今後素敵に存続させるため、その利活用の幅を上臼杵駅に見たような気がします。


私個人としては、それぞれの駅の歴史を詳しい解説と昔の写真と共に古い駅舎の中で見てみたいなぁと思っています。

古い駅だがバリアフリーの上臼杵駅

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